自動車などとも比較しても、長期間、各方面で活躍してきた船は、中古船として販売されたり、海という、工業製品にとっても過酷な状況の中で、痛みの激しくなった船は、中古遷都しても利用されることもなく、船の解体へと回されます。海で使われるのですから、それはもう凄い錆で、使い物にならないですよね。そういうのは解体されて当たり前と言えば当たり前なのです。中古で傷んだ船を購入して、沈没でもしたらたまったものじゃないですからね。実際にそういう例もありましたから、そういうのは今はあんまりやっていないようです。勿論、痛みの少ない船は中古で取引されていますけどね。
その過程で、船の解体後に出る部材は、大型の船などでは鉄などの鋼材が再び加工されて、新たな「鋼材」へと生まれ変わり、各方面で活躍するのですが、一方、小型船などを中心に、軽量化や安価にボディを作るために、ボディの素材にFRPという素材が使われています。
このFRPとは、ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料のことをいいます。このFRPを使用した船、つまりガラス繊維強化プラスチックを用いた船は、そのFRPという製品特性[1]から、適正な処理が困難とされているため、解体・処理費用が高くなり、そういった事情が、不法投棄[2]の要因の一つともなっていました。
これらの事情を踏まえて、船の製造メーカー等が集まった団体である社団法人 日本舟艇工業会が、リサイクル事業を管轄する環境大臣の認定を受けて行われる、FRP船リサイクルシステムを開始しています。
このリサイクルシステムの仕組みを作る上で、近年のEPRとよばれる「拡大生産者責任」という考え方や、これらに限らない、世界的な広がりを見せているリサイクル循環型社会の形成の必要性や、また、国土交通省におけるFRP船リサイクルシステムの調査研究の成果といったことを考慮して、
主要な船の製造にかかわっている事業者7社[3]を中心として取り組んできた結果が、このFRP船リサイクルシステムという仕組みでした。
こうした中で、平成17年9月8日に、リサイクル事業を管轄する環境省において、広域的処理に係る特例の対象となる、一般廃棄物に関する告示が改正されて、この対象となる一般廃棄物として、廃FRP船が追加されることになりました。
さらに、同年11月29日には、環境大臣から廃棄物処理法に基づく広域認定というのを受けて、FRP船リサイクルシステムの開始を始めています。
- [1]_ここでいう商品特性とは、リサイクルにする素材として、FRPは、材料が高い強度を誇り・また大型で、全国に広くかつ薄く分布しており、またその製品寿命が長い、などの、リサイクルには適しにくいような特性をもった特性である・・といったことです。ですが、現在では国・企業が作り上げたリサイクルシステムによって、円滑に行われているようになっています。
- [2]_船を処分するのには、リサイクル料金や解体料金などがかかるのですが、それが好学となるケースもあり、不法投棄をするような、許されざるケースが、海外・そして、リサイクル先進国でもある、この日本でも行われています。
- [3]_船を製造・輸入するメーカー・または一部販売業者などを含めたメーカーで構成されています。